二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

高岡さんの思いの人、高島弓子さん。
彼と同じ会社の先輩だ。

「もしかして私たちと同じ?会社の先輩とか?」

「新人の時じゃないけどな。面倒見てもらった。まあ、その時は旦那がいたから、俺の一方的な片思いだったけど」ふーっと大きなため息。

「しっかりしろよ。格好悪いぞ」

伸二君が、そのたびに背中を叩いて喝を入れる。

二人とも変だ。

何か通じ合ってる。
言葉を交わさなくても、アイコンタクトで励まし合ってる。

「小学校の1年生って6歳くらいか……」

「ん……一番、どうなるか分からない時期ともいえる」
高岡さんが思い出すように言う。

「そのくらいの男の子って、どんなんかな」

「子供だけど、まったく子供って訳じゃないだろうな」と伸二君。

「可愛いぞ。一緒にお風呂に入って、ベッドで寝かせるんだ。肩車してやって男同士の約束って秘密を持つんだ」

「どうして、ダメだっていうんだ?彼女は?」伸二君が聞く。

「さあ……」

「さあって、理由わかんないの?」

「だって、断る理由なんてないじゃないか」
高岡さんが拗ねたように言う。

「巻き込みたくないのかしらねえ。手元のカードが悪すぎて釣り合わないって思ってるんだろうね」ずっと黙ってた母が、静かに言う。

「押しが足りない。真剣だって思われてない。だいたいね、断られたらどうしようってはっきり言えないのがダメなんじゃない」私が付け加える。