二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

「来週の週末、彼女と息子さんを遊園地に誘うんだ。そして……」

「私が、偶然通りかかる……あの、何よ。この偶然って。この時点で不自然じゃない?
なんで独身女が一人で遊園地にいるのよ!」

「それなら、カップルで行くことにしたら?」と母が助け舟を出す。

「そうですよね」気持ちいいくらいの笑顔の伸二君。
母の方に体を向けたまま見つめてる。

「いやいや、変だって。絶対グルだって思われる」
私が高岡さんに向かっていう。

「グルだと思われるとまずいのか?」
はあ?

「誠君、それでよく恋愛してきたわね」
あきれて私が言う。

「ん、まあ。そういうのは自分であんまり考えたことないし」
黙ってても寄ってくるんだろう。
女の方から、付き合ってとか。絶対そうだと思う。

「ダメだね。これじゃ」
やる前から失敗するって。

「いいじゃないの。あんたが高岡さんを追いかけて、ストーカーみたいに彼に手を出さないでって叫べば」
母の言葉に目を丸くする。

「母さん!娘に何てこと言うのよ」

「決定!ストーカー女。いいねえ」

「よくない。絶対よくない。どう思う?

「いいんじゃない。お義母さんもそう言うし」

「嫌だって」

「って言うことで、次の日曜日。遊園地に集合」