二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

最近、伸二君が高岡さんと仲良くしている。

二人だけで飲みに行ったりしてるみたいだし。


仕事でつながりがあるから、仲良くすることはいいことだけれど。

高岡さんの愚痴を聞いてるうちに、伸二君は高岡さんの恋の悩みまで、自分が何とかしようと言い出したのだ。

私はそれには反対した。

『だって、こういうことは小細工をしても無駄じゃないの。

特に、伸二君。君は決して器用な方じゃないし。

アドバイスできるほど場数を踏んでるようには見えませんけど。

それに、大人の女性だよ。相手は。

いくら議論しても、私には子供のいたずらの作戦会議にしか聞こえないんですけど』



正面からぶつかってダメなら諦めるって言うのが私の考えだから。


けど、高岡さんは彼女のことになると、冷静さを欠いてしまって、からっきしダメだって言うのが分かった。

「今度断られたらどうするんだよ」本当にそればっかりだ。

「具合悪くなるよな……」伸二君が気の毒そうに言う。

「だから、諦めたらって……縁がなかったって」私がとどめを刺す。

「ふ~ん。そういうこというわけ?冷たいよな。幸せな女は」

「そうよ。慰めたってどうにもならないんだもの。きっちり打ち明ける勇気がないだけじゃない。うじうじして。彼女にはっきり伝えられないだけだもの」

「まあ、そういじめるなって。そういうもんだから。男って」
伸二君がかばって言う。

二人で結託してこの通り先に進まない。

「で?伸二君はどうするんだっけ?」