「帰ったら、一緒に住もう。一人で寂しくベッドで眠るなんて無理だよ」
耳元で彼の途切れがちな声がする。

「んん……」

私もかすれた声で、ようやく答える。

いくつも質問してくるのに、彼は唇を塞いでしまって、私が答えるのを邪魔ばかりしている。

「もう、荻野君……」

「そのうち、君も荻野になるんだろう?いい加減に……」

彼に抱かれてる。

急に実感が沸いてきて、感極まって涙ぐみそうになる。

彼が言い終わる前に、彼の口を塞いで言葉を奪いさる。

腕の中に飛び込んでいくと、全部の感覚が彼で埋め尽くされる。

髪に絡みついた指先。



安心できる空間。

なんて心地いいんだろう。

優しく引き寄せられ二人の体が重ねられる。

彼の手が私の腰をとらえ、軽々と持ち上げると、両腕で逞しい体に押し付けた。

伝わって来るのは、彼の体温だけじゃない。

言葉で表せない、別の何か。
あたたかなものが伝わってくる。

こうして、見つめあっているだけで、幸せな気分になる。

優しいキスから、激しく奪うようなキスになっていく。

身に着けているものが、取り払われていく。
私は、肌があらわになっていくのを、押しとどめようとした。