二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

スケジュールをすべてこなし、夕方道頓堀で、串揚げを食べに連れて行ってもらうことになった。

「えっと、荻野君は揚げ物は無理ね。雑炊くらいにしておこうか?」

「ここまで来て、それはないだろう?酒は飲まないけど、少しなら串揚げいただくよ」

うちの会社を担当してくれることになった、若手の技術者に、
連れて行かれるままに、アーケード街の外れの店に入った。

「可哀想に。この串揚げ、どれを頼んでもおいしいのに。荻野君の分も食べてあげる」
と言って、からかったら、

「じゃあ、俺は飲むことも出来ないから、
俺の分もしっかり飲んで、もてなしてやってくれよ」とグラスにビールをなみなみと注がれた。

「ちょっと、そんなに注いだら飲めないって」

「今日は、俺の代わりだろ?
飲んでもらうために来てもらったんだから、このくらいしてもらわないと。しっかり飲めよ」

「ちょっと、そんなに強くないって」