「俺の思いつくような甘えるって、こうやって、君にもたれかかることしか思いつかない」
おでこをくっ付け両手で私の顔を包み込む。
その上、こんなに可愛いこと言われて、油断してしまった。
「いいよ。ドンともたれてみて」
「じゃあ、遠慮なく」
彼の体がぐいっと近づいてきて、思いっきり体重をかけて来た。
「重いって、死にそう。止めて。荻野君、これは甘えるって言わないって」
私は、ソファにあおむけに倒され、彼に窒息されかかった。
彼は、そのままそのまま覆いかぶさるように、体を密着させてきた。
「荻野君っていうのは、止めろって言ったろ?」
彼は、体重をかけたまま、じっと見つめてる。
優しく指で顔に触れながらキスをした。
お互いの気持ちを確かめ合うように、何度もキスが続いていく。
「し、伸二君……」
「なに?」少しくらいは、予感してたけど。
「こういうのは、まだ、よくないと思うの」
「こういうのって?なんのことかな?」
しらばっくれる彼。
顔の表情とは逆に、彼の指先は積極的に私の服の中に侵入しようとしている。
「き、今日はまずいと思うの」
「なにがまずいの?」
本気で分からないなととぼけている。
「なにって」
「医者は、日常生活は普通にしていいって言ってたけど?」
ブラウスの裾を引っ張り上げ、そこからひんやりした指先が侵入してくる。
「日常生活は、いいと思うけど……ちょっと待って。ダメだってば」
彼の大きな体をはねのけようとしたけど、びくともしない。
「性生活っっていうのも、日常だけど?」
ブラウスを引っ張り出される。
いきなり冷たい空気に触れて、身震いする。
「荻野君たら、体のこと言ってるんじゃないって」


