二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

いれたお茶を彼のところまでもっていこうとしたら、自分がそっちに行くからいいと言って断られた。

ソファの前の小さなテーブルに、湯呑を並べていると、ゆっくり彼が近づいてきた。

「ありがとう」ドカッと腰を下ろして隣に座った。
体が大きいから、すごい圧迫感。

「ん」
逞しい腕が背中に回されて、びくっとして言葉が続かなかった。

「葉子、教えてくれる?」
腕は背中から肩に回って、指先で私の髪をもてあそんでいる。

「うん、いいよ。なに?」

「君に甘えるにはどうしたらいい?」

い、いったい何を言い出すんですか?

この人は……

しかも、本当にお願い。

本気で、どうしたらいいのか分からないんだ。なんて目をして。
熱っぽく、すがるような目で。

「どうしたらって言われても……」
心臓に悪いから、目をそらしてるのに。
彼の手が、私の後頭部を捕えて逃げ道を塞いでる。