二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~



実際に付いて来くると、大丈夫、回復したと本人は言っても、いざ自分一人になって生活をするのは大変だった。

一人で大丈夫って、どこにそんなこと言う余裕があるんだろうと思う。

本当に我慢強いのだ。


荻野君、私がそばにいても、邪魔だとか、いなくていいとは言わなかった。

彼が、「もういいから帰って」と言い出したら帰ろうと思ってた。
そう言うまで、そばについていてもいいのかな。


荻野君、入院中は私に見られてないと思うと、辛そうにしていた。

貧血が完全に治っていないのか、立ちくらみがして壁に寄りかかってた。

やっぱり、荻野君が断っても、家まで送ることにした。
家について、一人でも大丈夫だと思ったら、帰ればいいか。


タクシーで荻野君のマンションに家に向かった。
半分荷物を持って、家の中に入る。

「ふうーっ」と息を吐きだして、彼は荷物を床に置いた。

荻野君は、疲れたのかソファに座ったまま動かなくなった。

何もしたくないみたいに、背もたれに体重を預けてぐったりしている。


「遠慮しないで、荷物全部持ってくから」というのに、
荻野君は「手ぶらで歩けるか」と、半分持つと言って聞かなかった。


「休んでていいよ」と彼がいう。
私は、可笑しくなってしまった。

笑ってしまうと、彼が気を悪くするので、一生懸命笑いをこらえる。
自分が辛くて休みたい時は、人に休めというんだよね。

「ん、ありがとう」
逆らわずに、ちょこんと横に座る。