二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

「こっちへ来て」
彼に言われて、ベッドの横に座る。

「着替え持ってきたよ」

「ありがとう。顔が赤いけど、どうかした?」

「何でもない」

「あれ、見たの?」

「見たのって……」
本当にこの人は、こういう時、抜け目がなくて意地悪だ。

「いいよ。見たって。見せようと思って君に頼んだんだもん」
荻野君、もう笑ってる。

「ええっ?」

「本気だってこと。入社して森沢さんのこと、冗談じゃなくずっと見てたって、わかってもらえると思って」

「荻野君、私……」

「どういう理由かわからないけど、形だけ約束した婚約者はいるんだよね」
笑いながら言う。

「荻野君、何しようとしてるの?」

荻野君は、急に真面目な顔になって言った。

「俺、一度死んだと思った。だから、さっきの二人にも言ったんだ。前みたいにはできないって。一度死んだんだから、好きなようにさせてくださいって頭を下げて頼んだんだ」

「好きなようにって?」

「ん、そうだな。好きな人と一緒になること」

「荻野君、そんなに簡単に言わないで」

「妨げになるものは、葉子さんだけだろ?よく見てよ。他にはもう、何もないからね」