二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

『パジャマとか、上に羽織るものとか適当に持ってきて欲しい』

『それから、リビングのテーブルの上にineホームさんの資料置いたままになってるから、ファイルごと持ってきて欲しい』

荻野君に言われたものを大き目のバッグに詰め込む。

『パソコンはダメって言われるだろうな』
看護師さんに言われた通り、体を治すことを優先してパソコンは持っていくのを止めよう。


会社でも、荻野君の勤務態度は凄くまじめだった。
彼が病気になった時も、同情する声の方が多かった。

お見舞いに行きたいという声や、品物を送ろうという声も上がった。

同僚からも上司からも信頼されている。

仕事の方も、かかわる人々がみんな協力的だった。

他の課の課長や部長とも相談して、一週間程度の休みなら、荻野君がいなくてもどうにかなりそうなので、ゆっくり体を休めて欲しいと言われてきた。

前の部署からずっと有休も未消化でだいぶ余ってると聞いてる。

本当に体を休めて欲しい。

必要なものは、全部詰め込んで何か暇がつぶせるようなものはないかなと部屋の中を歩き回った。パジャマを取り出すために、もう一度寝室にしている部屋に入った。

ベッドと小さなテーブルが置いてある何もない部屋だった。

さっきは気が付かなかったけれど、ベッドのサイドテーブルの上に何か乗っている。