二人の彼～年下の彼と見合い相手の彼 ～

彩香さんが荻野君に応えようとして、体を動かそうとした。

彼は、ぎこちない動きで彼女のことを止めた。

「彩香はいいって。葉子に頼むから」

「どうして？すぐに行ってくるよ？この後予定もないし」
彩香さんは、彼をまっすぐ見つめて命令してくれるのが当然っていう目で見てる。

「ダメ。これから彩香は、俺の用事で動いてもらわなくていいよ」

「遠慮しないでよ。伸二君にはいろいろしてもらってるから」

「他に世話したくなる人を探せ」

「伸二君いるから、大丈夫だもん」

「俺じゃダメだ」

「イヤ。私が行く」

見かねて、父親が口を挟んだ。

「彩香、やめなさい」と父に言われ、しゅんとおとなしくなる。


母親が様子を見て尋ねる。

「さあ、彩香帰りましょう？帰りに買い物行く約束でしょう？」

「いいじゃない。もっといても」

「彼女といろいろ話があるから、ダメだ」と荻野君が突き放す、

「そのうちゆっくり話すから」
荻野君が、なだめるように言った。

荻野君の言葉で、彩香さんは帰ることにした。