入院も三日目になった。
荻野君はベッドから起きあがり、立って歩けるようになっていた。
その日は、私も仕事が休みで、朝から病院に来ていた。
私は、少し歩きたいと言う荻野君に付き添って、廊下を歩く。
胃を手術した荻野君は、まだ口から飲んだり食べたりする許可が下りてない。
だからまだ、何も食べられない。
「何にもすることがなくて。せめて携帯でメールだけでもチェックしようとして、看護師さんに止められたよ」
「仕事のことは、滞りなく進んでます。何も心配いりませんから。メールも見なくて大丈夫です」問題ないからと言っても、安心できないんだよね。
「それこそ心配だろう?君がいれば、俺なんかいなくてもいいって言われたら大変だ」
彼はそう言って笑う。
「そ、そんなことありませんから。心配しないでください」


