二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~



体も回復していないのだから、しゃべるのも体力を使ってしまう。
興奮させるのやめさせなきゃ。


「少し、休んでください。用事を済ませたら帰りますから」
優しくなだめるように。背中をさすってあげる。


「森沢、俺、確かに彩香のことは大切だ。そう言ったよ。
でも、ずっとそばにいて欲しいのは彼女じゃない。倒れて入院したことは、明日にでも俺からから彩香に言う。連絡はする。でも、彩香が見舞いに来ても、君はここにいてくれる?」

「ここに居るのは構わないけど……」それは、まずいんじゃないの?

「そう、それは良かった」

「さっきから、君が気にしてるのって、俺の体調と、俺がいない間のスケジュール調整と、君が気にしてるのは、それだけ?」


「ん?」

「俺の言いたいこと分かった?分かってなくても、俺もそのつもりで君に向き合うよ。いいんだね?」

「な、何がいいたいの?」
彼が考えてることに思い当たらない。私は、首をかしげる。


「そんなの。言う訳ないじゃん」

言う訳ないじゃんだなんて涼しい顔で言われても。

「あ、俺、もうおじさん、彩香のお父さんに電話で説明したからね。そのうちここに訪ねてくるかもしれないけど」

「はい。本当に私が付いてていいんですか?」

「いいって言ってるでしょ?君以外に居てもらっても困るんだけど。俺」

「そう、ですか」

嬉しそうにこんな会話を続けている。