二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

「荻野君?なにしてるの?」

「キスだよ」
慌てて体を離し、キスから逃れる。

「ダメ。そんなことしたら、傷に障るって。体に悪い」
やっとのことで、体を引き離す。

でも、実は彼のキスは優しくて、中途半端にキスされるともっと欲し配る。

だからダメだって、いう訳じゃないって……

見抜かれてる。
荻野君、笑ってるし。

「本当にそうだね。病人がこんなことしたらいけないね」
笑いながら、ふざけてるみたいに言う。

「そうよ」

「分かった。うっかりキスしないように気を付けるよ。君も、俺にうっかり近づくなよ」


「それより、彩香さんに連絡は?ちゃんとした?私がかけようか?」


「君が気にすることじゃない」
急に態度が変わる。楽しく過ごしてたのに、なんで水を差すのって顔になる。

「えっと。私、ここに居るの良くないよ。彩香さんと代わってあげなくていいのかなと思って」

「帰りたきゃ、帰ればいい。会社からここに来るんじゃ大変だろう?無理しなくていい」

「えっと、そうじゃなくて……」


恋人でもないのに、ずっと居座っているのは良くない。
会社の部下っていうだけなんだから、いい加減に遠慮した方がいい。


「荻野君は、病人だし。まだ誰か付いていないけど。私が来られない時、頼んでみようか?」

「いいよ。そんなこと気にしなくて。そのことは君とは関係ないだろう?」

面白くなさそうに、黙りこんでしまう。