しばらく手を握って、彼の顔を見つめていると、やっぱり彼の声が聞こえた。
「泣いてるの?」
荻野君は、私にそう言った。
今度は、はっきり聞こえた。
私は、荻野君の手をしっかり握る。
「葉子?」
小さいけど、しっかりした声だった。
「ん?」
「ずっと、傍についててくれたんだ?」
彼が目を開けている。
しかも、こっちを見て、私と目が合った。
彼は、笑ってる時のように目を細めている。
「気がついたの?」
ほっとして、体中の力が抜けた。
良かったと、彼の手を握る。
本当に荻野君が、目を開けて話してる。
「荻野君?起きたの?大丈夫なの!
ええっと、どうしよう」
何かしなきゃいけないんだった。
看護師さんに言われてた。
なんだったっけ?


