二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

暗証番号か……

適当に数字を入れてみるべきかな?
本当にそこまでする?

彩香さんもそこまで要求しないだろう。

判断が付かず、携帯を手にしたままじっと見つめている。

彼のは古ぼけた、型の古い携帯電話。
もう何年も使い続けてる、スマートフォンだった。

荻野君は、一度手にしたものは、何でも大事にする。

なんでも、もう、使えないってところまで使い倒すのだ。

「自分の体も、もっと大事にすればいいのに」


いたたまれず、呟く。

ベッドに横たわる姿を見ていると、急に涙ぐんでくる。

きっと回復するに決まってる。

そう思うほかないと思う。



「葉子?」

彼の声が聞こえた気がした。

彼の手を握って彼に聞こえるように「はい」と返事をする。