言われた通り、外に出て新鮮な空気を吸った。
荻野君の容態は落ち着いていて、母が病室にいてくれてる間に外に出た。
彼の家ま帰る時間はないと思って、病院の近くにあるお店で、パジャマと下着を買いそろえた。
言われた通り、自分の夜食も買ってまた病室に戻る。
「今日は彼と一緒にいるのね?」
「はい」追い出されるまでいるつもりだ。
「葉子?」
「はい」
「彼には、ご両親も、兄妹もいらっしゃらないんでっすってね。でも、婚約者はいるって言ったわよね?」
母が何を言い出すのか、予想が付いた。
母は、どんなケースでも、公平なのだ。
「はい」
「荻野さんの彼女に、連絡が取れるんなら、すぐに連絡してあげなさい」
「はい」
そうだった。
忘れようとしていた。
荻野君は、私だけのものではない。
私は、彼の婚約者じゃないのだ。
単なる職場の部下でしかない。


