二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

汚れものをビニール袋に入れて、病室に戻った。

荻野君の顔を見つめている母に声をかけた。

「付き添ってるのは、会社の人だって、誠君言ってたけど……」
じいっと彼の顔を見つめて母が言う。

「ええ、この人が私の特別な人。だから、母さん、私、高岡さんと結婚できない」

「この人のことが好きなの?」
母が優しく尋ねる。

私は頷く。


「そう。じゃあ、どうしてそう言わないの?」
母は、私の方を向いて言う。


「彼には、私じゃなくて、他の人と結婚するつもりだから」


「まあ、可哀想に。あの様子だと、誠君も知ってたのね?」
母が、私の手を握って来た。

「はい」


「本当にしょうのない子たちね。じゃあ、私と敏子さんは、お互いに気持ちのないあなたたちを、無理やり結婚をさせようとしてたのね?」


「ごめんなさい。それくらいできるって思ってたの。でも、無理だった」

「当たり前です。誰が自分の娘に気の進まない結婚なんか、誰がさせたがりますか?」

「お母さん?」