二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

「やっぱり手術になったんだ」高岡さんが隣に座った。

「手術前、彼の意識はあったように見えました。だから、大丈夫だって……」
ほっとしたのか、感情がゆるんでいろんな気持ちがあふれてきた。

「大丈夫だよ。すぐに救急車で運んだからね。何とかなるって」

「はい」

このまま……
手術室から帰らなかったら?

会えなくなるようなことにはならないだろうか。

荻野君と会えなくなる。

そんなこと考えてもいなかった。

いつも、会社にいれば顔を合わせるし、部署は変わっても廊下で会えば挨拶していた。

それが、手術が失敗すれば……
出血が収まらなければ……

もう、二度と会えないかもしれない。

「あんなに血を吐いて……もう、ダメだったらどうしよう……」

「大丈夫だって。そんなに深く考え込むなって。悪い事ばかり考えるだろう?」

「んん……」

そんなことを考えながら、3~4時間待っていた。



さっきの白衣の医師がやって来て、説明があると言われた。

「手術は無事終わりました。患者さんは今、眠っています」と言った。