二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

加藤さんには、会社への報告を頼んだ。
荻野君の病状は、私が病院に付き添って後で報告することにした。

荻野君の体に触れた時に、洋服は血だらけになっていて、直接会社には行かれない。
それ以上に、このまま彼から離れるわけにはいかなかった。

救急車が動き出した。
終始サイレンを鳴らし、ものすごいスピードで走るから、救急車というのは荒い運転になる。

彼の体が落ちそうになるのを、必死で押さえつけ祈るような気持ちで病院まで向かう。

本来、胃潰瘍のような病気は人が亡くなるような病気ではないが、こうして血を吐いて病院に運ばれた人の中には、不幸にも亡くなってしまう人もいる。


救急隊員は荻野君に酸素吸入器を装着し、血圧を計っている。

報告されている数値が、60を切り始めている。

「血圧低すぎませんか?」
隊員の人に、たまらず声をかける。

「もうすぐ病院に着きますから」

隊員の人の言う通り、救急車は病院に到着した。


中から看護師のような人たちが走ってきて、荻野君は、救急治療室のような部屋に連れて行かれた。


彼の体は、ベッドに寝かされ、服をすべて脱がされる。

ここで待っていてくださいと、看護師に言われて椅子に座らされた。