二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~


花梨ちゃんが、お盆にコーヒーを入れて持ってきた。

白石君が、気が利くねと声をかけた。

「カップ多くない?」白石君が突っ込む。

確かに。花梨ちゃんがトレイに乗せてるカップが、一つ多い。

「研究所から、お客さんが来るんですって」
梨花ちゃんが答えた。


「そうなの?」誰だろう。

トレイを置きに行った花梨ちゃんと、新井さんがすれ違って入って来た。

「新井さん、誰か来てるの?」
席についてすぐ質問した。

「ああ、主席研究員の加藤さんがさっき来てた」
説明の足りない質問だったのに、新井さんはすぐに察してくれた。

「加藤さんが?」
白石君が、私の顔を見る。

「知り合い?」新井さんが聞いた。

「一度、工場に行ったことがあるの。その時挨拶しただけ」