二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

「どうするかって、簡単に言わないでよ」

「簡単には言ってないわよ。これでも、5年はじっと我慢してきたもの」

「そんなに前から、嫁に出したいと思ってたの?」

「嫁に出したいと思ったのは、あなたが20歳を超えてからよ」

「そんな前から?」

「一応、これでも、いつ嫁ぎたいと思っても大丈夫なように準備はしてきたでしょう?」

「ええ」
お料理から始まって、お金のこと、保険とか、大きなものを買ったり、何か決めるときも全部、母は私に相談して、一緒に考えるという立場を取って来た。

母が、教師だからなんだとずっと思って来た。
なのに、それが家を出て行くための準備だなんて思ってもみなかった。

「そういわれても」

正直言って、二人ともどうしていいのか分からない。

結婚するのも、しないのも、どっちにするか決断ができない。

「踏み込めない」急に言われても困ってしまう。

こっちは結婚なんて真剣に考えたのは、お見合いしろって言われてからだ。

「誠さんのどこが不満なの?」

「不満なのって言われても」
欠点なんかないだろうというほど、完璧な人にどうやって文句をつけるのだ。


そもそも、彼とは、親に結婚して欲しいいと望まれなければ、単なる知り合いの域を出ない関係だ。

それを、条件がいいとか、お互いの家に都合がいいとか、そんな理由で結婚を考えている。

素晴らしい条件の人だし。
それはよくわかる。

あんた一人で、老後どうやって過ごすのよ。
それも、最もだ。

でも、だからって。

一緒に住んで、体の関係もして、子供まで作る。
その上、何もなければ、死ぬまで一生その人と居るんだよ?

こんな短い期間にどうやって判断するのよ。

放っておいて欲しい。
せめて、ちゃんと結論が出るまで。