二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~


朝の陽ざしが目に染みる。

空気も澄んでいて、気持ちよさそうなのに、日が高くなるまでベットから起き上がれないでいた。

「いい加減に起きなさい」

遠くで母の声がする。

昨日は、帰宅したのが遅すぎて、さすがに母も寝ていたから顔を合わせていない。

母が、聞きたくてうずうずしている。
自分は、とっくに食事を終えているのに、ふきんを手にして私の様子をうかがってる。

「高岡さんから、正式に申込されたんでしょう?」
席について、お味噌汁をすする前に、母から質問された。

「正式にって……」
せき込んで、のどに詰まりそうになった。

それ以上に、頭が回らない。
何と答えていいのか、昨日のお酒が抜けていない頭で考える。


「昨日、誠君と一緒だったんでしょ?」

「ええ、多分」

「多分って。一緒だったのは知ってるのよ。それで?何か決めた?」

「何かって……」
ちょっと待って、なんで高岡さんと一緒なの知ってるのよ。
昨日、一言も言ってないわよ。

「式は、いつ頃にするかとか」

「いえ、あの……」

その前に、結婚するかってとこから決めなきゃいけませんが。

「まあ、いいんじゃない。結婚する時はお互いそれほどじゃなくても。毎日顔を合わせているうちに、情がわいてくるわよ」

「えっと……そんなことで、上手くいくの?」

「大丈夫じゃない?昔はみんなそうだったんだし。要は、一緒になった後、どうするかってことでしょう?」