「どうする?」
高岡さんに呼び出されて、私たちは話し合った。
会うのを伸ばし伸ばしにして、結論を先送りにしたかった。
高岡さんにどうしても話をしたいって言われてしまった。
顔を見てすぐ、彼が言う。
「お袋に最後通告された」
「通告されたからって、逮捕されるわけでも、人から後ろ指、さされるわけでもないよ」
「俺も、限界。これだけアピールしてるのに、拒否されるって、相手にその気がないんだろう」
高岡さんがため息をつく。
「ちょっと聞いていい?」
「ああ」
「アピールって彼女に、何してるの?」
考えをめぐらし、ちょっと待ってと考えながら言う。
「それとなく、ずっと続いたらいいなとか。こうしていると楽しいなとか。3人でいると楽しいってこと伝えてる」
「何それ、それだけ?口でいうだけ?」
「まあ、言い方はいろいろだけど、だいたいそんなもん」
「十年それ続けてるの?」
信じられない。
「なんだ?何か言いたいのか?」
「伝わってないと思うな。だって、そんなの、その日にあったばかりの人にだって言うでしょう?」
「言うけど。あったばかりのやつだったら、相手がどう思ってるか気にしないだろう?」
「気にして、何も言えないんだ」
「いいじゃないか」
「高岡さんがいいなら、いいけど。私なら、次に行くな」


