どうして、あんなふうに言っちゃったんだろう。
しばらくは、後悔でいっぱいだった。
黙っていれば、今までの関係は続いていたのに。
『彼女を納得させてみて。そうしたら先のこと考える』
そう言ってみたものの、彼が期待した行動を起こしてくれるとは思っていなかった。
出来ることだったら、今までだってそうしていただろうから。
多分、荻野君は彼女の方から言われなければ、自分から付き合いをやめるって言わないだろう。
彼の方は、歩み寄りもしない。
何もしないのだ。
付き合いを止める言わないかわりに、付き合いを発展させようともしないなんて。
私ならこんな扱いは、ごめんだと思う。
けれど、若い彩香ちゃんにはそれでもいいと思えるのだろうか。
それとも、彼女の方がそういう関係を受け入れるほど彼を好きなんだろうか?
一週間たち、一か月になろうとしていた。
もう、私と高岡さんは結論を先延ばしするのが難しくなってきた。


