気が付くと私は、彼の膝の上に座らされて、彼の腕に支えられていた。
ブラウスのボタンが外されて、ブラが肩から外れかかっている。
ブラウスの下が、どうなってるのか分からない。
下を見ることが出来ないからだ。
彼の頭が顎の下に入り込んで、下を向けない。
情熱的なキスをされたのは、久しぶりだった。
理性がぶっ飛ぶほどのキスなんて本当に初めてだった。
彼に、圧倒されてしまって、自分がどんな状況に置かれてるかなんてことに、注意が行かない。
「荻野君……ちょっと、待って」
開けて冷たい空気にさらされていた胸元が急にあったかくなった。
開けたブラウスから、大きな手がブラの中に侵入して、全体を包んでいる。
彼の手のひらは、ちょうどいい具合に収まってる。
指先を器用に動かして、触れたものの感触をじっくり確かめてる。
「荻野君、ちょっと、ここオフィスだって……」
胸から、彼の手を引きはがそうとする。
「葉子さん、ちょっと黙って……」
「止めて、お願いだから」
「これ以上しません。でも、離したくない。この体、誰にも触れさせたくない」
「止めてって言ってるでしょ?」
私は、彼の胸を両手でドンと突き放して、彼の膝から降りた。


