二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

「なんか、二度と会えないって、言われてる気分だけど」

「そんなことないよ。会社辞めるわけじゃないし。で毎日顔を合わせて、話もするよ」

「うん」

「でも、よく分かった。これからも、今まで通りお互い助け合って頑張ろうね」
私は、ハイタッチで彼の手を思い切り叩いた。

「威勢がいいな」

「そうやって支えていくからさあ、頑張ってよ」

「やっぱり、何か変だって。ちゃんと話して、何か困ってるんでしょう?話を聞けばどうにかできるのかも知れない」

私、荻野君に、なんて説明したらいいの?

こんなに、SOS出してるのに。
こんなに、悲壮な思いして訴えかけてるのに、まったく別の方向に向かって吠えてるみたいだ。


「ありがとう。気持ちだけ受け取っておくって」

「頼りないって言いたいんだろう?」
なんとなく、雰囲気だけ感じるんだよね。
いつも。
『何か辛そうですね』そう言ってこうしてカウンターで並んでたっけ。


「そうだね。危なっかしいな」

「やっぱり子供だって思ってる?」


「凄いとこも、ダメなとこも、荻野君のいいところは、みんな認めてるよ。年相応の男性だし、子供っぽくもないと思う」
パシンと彼の背中をたたく。

「ほら、やっぱり頼りないって思ってるだろう?」

「そうだね。でも、そのことで喜んだり、傷ついたりするのは、彩香ちゃんでしょ?」

「森沢さん?」

「もう、ふらつかないって約束して。私は、もうあなたのそばにはいてあげられない」