「いずれ、答えることになると思う。だけど、彼女の方が本当に俺でいいのか……」
たった、3つしか違わないのに。
彼の口から出てくる言葉は、夢見心地で遠い昔に見た夢のようだった。
「迷ってるのは、彩香ちゃんじゃなくてあなたの方でしょう?」
「そうかもしれないけど、そう判断するのは、もっと先でいいって思ってる」
やっぱりなあ、という以外感想もない。
「そう。それなら、私から何も言うことないね」
分かり合えると思ってた方が勘違いだったのかも。
「森沢さん、正直言ってどうしたらいいのか……困ってる」
「荻野君さあ、ゆっくりでいいじゃない?そうだよね。彩香ちゃんって20歳でしょう?まだ、十分時間があるんだもの」言っていて悲しくなってくる。
一番に気が付いて欲しい人なのに。
こういう気持ちってまったく冗談みたいに、気付いてもらえない。
「森沢さん?」
「いいと思うよ。そのかわりちゃんと彼女の事受け止めてあげて。彼女から逃げないで」
私がしてあげられることって、このくらいだよ。荻野君。
「どうかしたの?今日は、何か変だよ」
「こんな気分なのかな。高岡さんの彼女も」
私は、まだ見たことない人のことを考える。
「何の事?」
「私は、もう付き合えないかな。埋めなきゃいけない溝が多すぎる」


