でも、他にどうしたらいいのか分からない。


荻野君?
すぐ横に、すっと指を伸ばせば触れられる位置に彼の顔がある。

平気ですか?
ずっとこのままでも。

息を吐きだす度に、彼の息がふわっとかかる。

いつまでも、こうしていられるわけじゃない。

このままの状態も、続けられるわけじゃない。

何もしないと、お互い別々の人と過ごすことになってしまう。


パソコンをのぞき込んで、資料を読み込んでいる彼、
マウスの上に重ねられた手は、そのままだ。


「ここまでできてるなら、後はクライアントと詰めて行こうかな」

「そうですね」

「一度、お話しましょう。ずっとこのままでいるわけにいきませんから」

「ああ、そうだね」