二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

「高岡さん……」

「今は、お袋に何を言っても無駄だ。しばらく成り行きに任せよう」

「任せるって、どのくらい?」

「わからない。僕にも」

「どうしたらいいのかな」

「ごめん。僕が軽率なことしたんだ」

「高岡さんだけの責任じゃないし」

「ああ、そう言ってもらえると気が楽になる」

高岡さんとは、話し合いもできぬまま、私は家に帰りなさいと言われた。

敏子さんは、帰り際に、
「誠と私は、来週にでも挨拶に伺います。本当にうれしいわ。あなたが私の娘になってくれるなんて」といって、私の手を握った。