「高岡です？もう！誠ったら！！やっぱり部屋にいたのね？早く開けなさい」
すぐ後ろに人の気配がした。
「わかった。今すぐ開けるから」
なかなか低くていい声だと思う。
振り返ると、高岡さんがいた。
顔を手で覆っている。
彼は、すぐに私の後に付いて来て、
ドアを開けるのを、阻止するつもりでいたのだろう。
間に合わなかったけど。
「すぐに起きて、身なりを整えて」
彼は、部屋の奥に行くように私を促した。
ガチャッっと鍵が開く音がして、後ろで聞き覚えのある女性の声がした。
「葉子ちゃん？葉子ちゃん、いるのね？よかった。早く開けて！あなたのお母さんが死ぬほど心配してるのよ」
「お袋、ちょっと待ってって言ってるだろう？」
