「何これ?」
驚いたことに、一人で寝ていると思ったベッドに誰かが横に寝ている。
背中を向けて。
心地よく寝息を立てて……
男性だ。
昨日の記憶が少しよみがえった。
二人ともしわくちゃだけど、ちゃんと服を着ている。それはよかったと思う。
「高岡さん?」
「ん?」
「インターホン鳴ってますけど……」
「今、何時だっけ?」
彼も似たような状態だ。
「9時過ぎてるか……んん……
それは、まずいな」
「私、出ましょうか?」
「いや、出るなって。ドアは開けるなって。絶対に」
運の悪いことに。
高岡さんより、私の方が早く目覚めたのが災いした。
「はい。高岡です」
彼の意識がはっきりする前に、私がベッドから起き上がって、インターホンに答えてしまった。


