週の真ん中で、高岡さんと二人で食事をすることになった。
少し遅れて来た彼は、細身のスーツを身にまとい『ごめん』と謝って私の目の前に座った。
最初にあった時は、緊張していたし、顔なんかよく見ていなかった。
次にあった時は、薄暗かったし、気分的にも相手の顔をよく見るなんて、余裕は全くなかった。
決して派手じゃない、あくまでシンプルな明るいグレーの布地。
まっすぐ、正面から見ると、すごく上品な印象を受ける。
流行を取り入れ、お洒落に気を使っているのも分かる。
淡いブルーのシャツと同系色のネクタイ。
目元も涼しげで、こんな素敵な人がどうして一人でいるのか分からない。
何もかもよく行き届いた人だなと感心する。
本当にバランスがよくて、つい見入ってしまう。
こんなに完璧な人っていないのに。
彼は、黒のビジネスバッグを脇に置いた。
明るい和室のお店で、くつろいで畳に腰を下ろした。
さっと上着を脱いで、すっきりとした上半身が見えた。
テーブルの下で、すらっと長い足が胡坐をかいてるのが分かる。
あんまり見過ぎると、失礼か。
「お呼びだてしてすみません」
「いいよ。そんなの。それより、俺の服装チェックは合格かな?」
「すみません。素敵だなと思って見入ってしまいました」
そう言って、笑ってくれた顔も爽やかだ。


