「どうしちゃったの……ちょっと待って。どういう意味よ。結婚してる人を好きになったの?」
「違う」
「婚約者がいる人?」
「うん」
「そっか、わかった。姉さんには上手くいっておくから。何も心配しないで」
「うん」
「葉ちゃん、でもさ。このことと高岡さんと結婚を意識して付き合うのと、全然別でしょう?それは……」
私は、叔母の言いたいことが分かって、すぐに顔をあげた。
「それは、高岡さんんも同じなの。両方の親をがっかりさせたくないの。私も高岡さんも事情があって、すぐには結婚したくない。
それなのに、毎月のようにお見合いをしなきゃいけないから、そうしないかって誘われたの」
叔母は、少し考えさせてって言うみたいに、両手で私を押しとどめる。
「ちょっと待って、高岡さんの事情は知らないけど、葉ちゃんはそんなことする必要ないよね。姉さんがそこまであなたに無理して結婚させようとしてるとは思えないもの」
「ん……そうだね」
「高岡さんには、何か理由聞いてる?」
「いいえ」
「だったら、敏子さんに葉ちゃんまで付き合う必要はないでしょう?」
「んん……」


