二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~

「あれ?荻野君とまた同じ部署になったんだよね?彼に、もう一度迫られたりして」

「そんなのないって」私は、否定した。

「そういえば、あれだけ格好良くてモテそうなのに、浮いた話聞かないよね」


「そういえば、そうだな」
これは、右にいた男性だ。
彼は、さっきから一人でマイペースに飲んでいる。


「森沢さん一筋だったりして」
私は、久恵の横にいる彼女の言うことを無視した。


「そんなことないって。オギ、ちゃんと彼女いるし」
右隣の男性に言われて、ドキッとした。

「そうなんだ、違うんだ。橋田君よかったね。俺の葉子ちゃんが荻野に取られてなくて」
久恵が、大きな声で言う。

「何それ」いきなり自分の名前が出て驚いた。

「お前、こんなとこでバラすなよ」
橋田君が慌てて、ビールを飲む。

「ごめんね、葉子。こいつは前回、あんたにきついこと言って、絶対避けられてるってしょげてたから、今回は強引に誘ったの」

「橋田君だったっけ?」

「ほうら、橋田の事なんか記憶にないって言ったじゃん」
久恵がはっきり言う。


「違うって、俺は、今日は森沢さんにちゃんと謝ろうと思ってただけだって」

「ついでに、荻野とは何でもいないって言って欲しかったんでしょ?」

「勝手に言うな」