「葉子!こっち」
ここにすわってるメンバーのうち、唯一交流のある久恵が手を挙げた。
彼女の横は、すでに両方とも埋まっていたので、久恵のすぐ目の前の席に座る。
空いてる席は一つだけだったので、そこに座った。
両隣とも、あまり話したことない男性だった。
ずっと、営業にいるくせに私は、仕事以外の話をするのが苦手だ。
クライアントと話すときも、仕事上雑談してると言えばそうだけれど、そういうときの会話と飲み会の時の会話は別だ。
お酒の席では、プライベートのことを聞かれたり、趣味は何かとしつこく聞かれることがある。
私は、一方的にまくしたてられるように話しかけられるのがダメだ。
緊張して、何を聞かれたのか分からなくなってるうちに、聞かれたことを忘れてしまう。
まだ、この飲み会に出ていたころ、そういう目にあった。。
この同期会に参加したとき、たまたま自然に仕事の話になった。
『こういう時に、仕事の話なんかするなよ』って言われて、すっかり黙り込んでしまった。
以来、参加するのを理由をつけて断ってしまった。


