二人の彼~年下の彼と見合い相手の彼 ~


荻野君がこっちを見て言う。

「自己紹介してくれるかな。まずは、主任から」

ハイと、言われるままに立ち上がる。

「私は営業部から来ました。森沢葉子です。売り方は心得ているものの、新素材の方は知識不足です。皆さんに補っていただけるとありがたいです」軽く頭を下げ、席に着いた。

「次、白石君」

「おはようございまっす。白石です。僕も主任と同じ営業部から来ました。
今まで別のグループで、営業してまして、森沢さんと荻野さんってすごく怖いって聞いてたけど、会ってみたら優しそうなんで、良かったです」

「俺はともかく、白石、この人の怖さは見た目じゃわからんぞ」


「そうなんですか?」
白石君が私の方を見て、何とも言えない顔をする。

「何てこと言うのよ」

「何せ、影のボスだからな」