「さ、佐倉くんっ…⁈」
言葉を発することが出来るようになった時のわたしは佐倉くんの腕の中に居て、抵抗できないほどに抱きしめられていた。
「俺…ずっと、好きでした」
耳元で聞こえる佐倉くんの言葉に、わたしの身体は強張るだけだった。
佐倉くんが、わたしを…?
「でも先生は、霧島サンのことしか見てなくて…」
何がなんだか……処理能力が追いつかない。
「ま、待って、わたし…結婚してるのよ?霧島くんとは…」
とにかく霧島くんとのことは否定しておかなきゃと思ったけど、佐倉くんには届いていないみたいで、わたしを抱きしめる腕が緩むことはなかった。
「わかってます。でも、好きなんだろうなって勝手に思ってます」
霧島くんーーー。
"リカって、カメみたい。警戒心が強くて…臆病"
佐倉くんとこんな状況なのに、わたしの中は霧島くんのことばかりだった。
「好きなんです」
「きゃ……!」
いくつかを向かい合わせに並べてある机の上に押し倒されたわたしの中に、ようやく佐倉くんの表情が入ってきた。
「こういう事、シてるんでしょ?霧島サンと」
その、少しの艶を含みながらも棘のある口調に、本能的に感じる危険。
嫌だ………霧島くん…!
ジタバタしてみても、高校生の男子に覆い被さられては全く効果なしだった。
「んーっ!」
助けを呼ばなきゃと声を出そうにも、大きな手のひらに阻まれてしまって上手くいかない。
"わたしも、霧島くんのこと…好きなの"
でも、こんな状況だからこそ嫌でも認識してしまう…わたし自身の気持ちを。
「………!」
涙で視界がぼやける。
なんでーーー…。
"オレは、リカのことが好きだ"
そんなはず…ない。
もう霧島くんは、わたしのことなんてーーー。
「…今すぐ離れろ」
"オレに会いたかったって言ってくれたリカの事、信じてるから"
それなのに、視界がぼやける前に佐倉くんの肩越しに見えたのは、霧島くんの姿だった。
「え…?」
振り向いて声の主の姿を確認した佐倉くんからは、少しの戸惑いが感じられた。
「なんで、霧島サンが…?」
佐倉くんが戸惑うのも無理もない、今は休み時間でもなんでもなく、しかもここは教室から離れた美術室ーーーそれなのに目の前に霧島くんが居るという現実に、わたしだって信じられないのだから。
言葉を発することが出来るようになった時のわたしは佐倉くんの腕の中に居て、抵抗できないほどに抱きしめられていた。
「俺…ずっと、好きでした」
耳元で聞こえる佐倉くんの言葉に、わたしの身体は強張るだけだった。
佐倉くんが、わたしを…?
「でも先生は、霧島サンのことしか見てなくて…」
何がなんだか……処理能力が追いつかない。
「ま、待って、わたし…結婚してるのよ?霧島くんとは…」
とにかく霧島くんとのことは否定しておかなきゃと思ったけど、佐倉くんには届いていないみたいで、わたしを抱きしめる腕が緩むことはなかった。
「わかってます。でも、好きなんだろうなって勝手に思ってます」
霧島くんーーー。
"リカって、カメみたい。警戒心が強くて…臆病"
佐倉くんとこんな状況なのに、わたしの中は霧島くんのことばかりだった。
「好きなんです」
「きゃ……!」
いくつかを向かい合わせに並べてある机の上に押し倒されたわたしの中に、ようやく佐倉くんの表情が入ってきた。
「こういう事、シてるんでしょ?霧島サンと」
その、少しの艶を含みながらも棘のある口調に、本能的に感じる危険。
嫌だ………霧島くん…!
ジタバタしてみても、高校生の男子に覆い被さられては全く効果なしだった。
「んーっ!」
助けを呼ばなきゃと声を出そうにも、大きな手のひらに阻まれてしまって上手くいかない。
"わたしも、霧島くんのこと…好きなの"
でも、こんな状況だからこそ嫌でも認識してしまう…わたし自身の気持ちを。
「………!」
涙で視界がぼやける。
なんでーーー…。
"オレは、リカのことが好きだ"
そんなはず…ない。
もう霧島くんは、わたしのことなんてーーー。
「…今すぐ離れろ」
"オレに会いたかったって言ってくれたリカの事、信じてるから"
それなのに、視界がぼやける前に佐倉くんの肩越しに見えたのは、霧島くんの姿だった。
「え…?」
振り向いて声の主の姿を確認した佐倉くんからは、少しの戸惑いが感じられた。
「なんで、霧島サンが…?」
佐倉くんが戸惑うのも無理もない、今は休み時間でもなんでもなく、しかもここは教室から離れた美術室ーーーそれなのに目の前に霧島くんが居るという現実に、わたしだって信じられないのだから。



