言葉では表せない感情を膨らませながら、震える手で志朗さんのスマホを拾い上げる。
画面には、いくつかのラインの通知が表示されていた。
でも、志朗さんのスマホのパスワードを知らないわたしは、その内容を知ることが出来ない。
「…」
"ゆり"から……?
もしかして、会う約束でもしていたのーー…?
晩ご飯がいらないって…そういう事なの?
このところ頻繁に帰りが遅いのも…?
今日は本当に学校ーーー?
「ーーーっ」
わたしの想像の全てが、"ゆり"に結びつく。
そうして都合よく、わたしは苦しくなる。
更に都合よく、涙が頬を伝う。
でもきっと、わたしに差し伸べられる手は、どこを探しても見つからないのだろう。
聞こえてくるのは、「自業自得」という言葉だけ。
志朗さんの外食が増えて家計の支出が減ったと単純に喜んでいた、あの時のわたしに教えてあげたい。
ーーーわたしは、最低な女だということを。
"オレ…、安藤先生のこと、好きなんですけど"
あの日からこの10か月間、史朗さんの事を一体どれだけ思っただろうか。
わたしの中には、申し訳ないほどに霧島くんが居た。
気が付けば、霧島くんのことばかりを想っているというのに、
「…」
わたしだけが傷つくなんて…なんて卑怯なんだ。
しかもまだ不倫と決まった訳でもないのに、そうと決めつけて、勝手にショックを受けて。
心のどこかに、そうであって欲しい気持ちがあるのかもしれない。
わたしが、わたしの罪が、軽くなるために………。
「はぁ…っ」
霧島くんーーー…。
《会いたい》
どうしたらいいのか、わからなった。
独りで居ることが、たまらなく辛かった。
《今図書館で勉強してるから、午後からなら大丈夫だよ!》
「………」
半ば勢いで送った《会いたい》のラインに、後悔と高揚が入り混ざる。
送信を取り消そうか迷っている間に返ってきた内容に素直に喜べなかったのはきっと、こんな状況でも霧島くんのことが好きで仕方ないから。
わたしの中に存在してはいけない気持ちに、だんだんと逆らえなくなっていた。
それなのに"ゆり"の存在に動揺を隠せない、狡いわたし。
わたしのしてる事だって志朗さんと何も変わらないのに。
それでも、鏡に向かって化粧をし始めたわたしの顔は、恋をしていたーーー。
画面には、いくつかのラインの通知が表示されていた。
でも、志朗さんのスマホのパスワードを知らないわたしは、その内容を知ることが出来ない。
「…」
"ゆり"から……?
もしかして、会う約束でもしていたのーー…?
晩ご飯がいらないって…そういう事なの?
このところ頻繁に帰りが遅いのも…?
今日は本当に学校ーーー?
「ーーーっ」
わたしの想像の全てが、"ゆり"に結びつく。
そうして都合よく、わたしは苦しくなる。
更に都合よく、涙が頬を伝う。
でもきっと、わたしに差し伸べられる手は、どこを探しても見つからないのだろう。
聞こえてくるのは、「自業自得」という言葉だけ。
志朗さんの外食が増えて家計の支出が減ったと単純に喜んでいた、あの時のわたしに教えてあげたい。
ーーーわたしは、最低な女だということを。
"オレ…、安藤先生のこと、好きなんですけど"
あの日からこの10か月間、史朗さんの事を一体どれだけ思っただろうか。
わたしの中には、申し訳ないほどに霧島くんが居た。
気が付けば、霧島くんのことばかりを想っているというのに、
「…」
わたしだけが傷つくなんて…なんて卑怯なんだ。
しかもまだ不倫と決まった訳でもないのに、そうと決めつけて、勝手にショックを受けて。
心のどこかに、そうであって欲しい気持ちがあるのかもしれない。
わたしが、わたしの罪が、軽くなるために………。
「はぁ…っ」
霧島くんーーー…。
《会いたい》
どうしたらいいのか、わからなった。
独りで居ることが、たまらなく辛かった。
《今図書館で勉強してるから、午後からなら大丈夫だよ!》
「………」
半ば勢いで送った《会いたい》のラインに、後悔と高揚が入り混ざる。
送信を取り消そうか迷っている間に返ってきた内容に素直に喜べなかったのはきっと、こんな状況でも霧島くんのことが好きで仕方ないから。
わたしの中に存在してはいけない気持ちに、だんだんと逆らえなくなっていた。
それなのに"ゆり"の存在に動揺を隠せない、狡いわたし。
わたしのしてる事だって志朗さんと何も変わらないのに。
それでも、鏡に向かって化粧をし始めたわたしの顔は、恋をしていたーーー。



