「き、霧島くんって、優秀なんだね」
霧島くんの方を、見ないまま話す。
「あー…まぁ、そうなのかな」
「ふふ」
「何で笑うワケー?」
不思議そうにわたしを見る霧島くんに、
「内緒」
一言だけ返した。
霧島くんの事がひとつ知れただけで、ほわんと温かくなるから不思議。
でも、同時に顔を出したのは罪悪感で。
自分自身を、たまらなく嫌いになる瞬間でもあった。
「そういえば、絵…」
「あぁ、うん」
ちらりと見た霧島くんは、少し浮かない表情をしていた。
「最近思うように描けないんだー」
そう言って天井を見上げた霧島くんを、気がつけば見つめているわたし。
霧島くんの絵は、テスト前から進捗が見られなかった。
じゃあ何であの日、スケッチブックを持って来たりしたんだろう。
「リカちゃん先生---」
「…」
ふっと視線を落とした霧島くんと、目が合うだけで高鳴る。
わたしの隣に座った霧島くんとの距離、多分50センチくらい。
「テスト前にここで描いたのと変わってないのに、何で持って来たんだ、って顔してる」
うぅ…思いっきりバレてるよ。
「そんなの、会いたいからに決まってるじゃん」
「…」
わたしも会いたかったけどさ…そんな風に真っ直ぐ言われたら、ドキドキに拍車がかかる。
「オレ、もっと先生のこと…知りたい」
「………」
絡まる視線が解けなくて、身体が熱くなる。
「そうしたら、描ける気がするんだ」
「霧島く…」
ふいに霧島くんの顔が近づいてきて、思わずギュッと目を閉じるーーーでも想像とは裏腹に、霧島くんの顔はわたしの肩の上に置かれたのだった。
「少し、こうさせて」
「あ、う、うん」
頬を霧島くんの髪に撫でられながら、何度か感じたことのある霧島くんの匂いにクラクラする。
眩暈にも似たその感覚が嘘みたいに心地良くて、どうにかなってしまいそうな自分が恥ずかしくもあった。
「ねぇ、何で目ぇ閉じたの?」
「…」
「またキスされると思ったとか?」
「…意地悪」
わたしの言葉に、クスっと笑う音がした。
わかってるくせに…。
「オレも、」
「…え?」
「ほんとに好きだから…」
そんなこと言われたら、涙出そうになるよ…。
霧島くんの方を、見ないまま話す。
「あー…まぁ、そうなのかな」
「ふふ」
「何で笑うワケー?」
不思議そうにわたしを見る霧島くんに、
「内緒」
一言だけ返した。
霧島くんの事がひとつ知れただけで、ほわんと温かくなるから不思議。
でも、同時に顔を出したのは罪悪感で。
自分自身を、たまらなく嫌いになる瞬間でもあった。
「そういえば、絵…」
「あぁ、うん」
ちらりと見た霧島くんは、少し浮かない表情をしていた。
「最近思うように描けないんだー」
そう言って天井を見上げた霧島くんを、気がつけば見つめているわたし。
霧島くんの絵は、テスト前から進捗が見られなかった。
じゃあ何であの日、スケッチブックを持って来たりしたんだろう。
「リカちゃん先生---」
「…」
ふっと視線を落とした霧島くんと、目が合うだけで高鳴る。
わたしの隣に座った霧島くんとの距離、多分50センチくらい。
「テスト前にここで描いたのと変わってないのに、何で持って来たんだ、って顔してる」
うぅ…思いっきりバレてるよ。
「そんなの、会いたいからに決まってるじゃん」
「…」
わたしも会いたかったけどさ…そんな風に真っ直ぐ言われたら、ドキドキに拍車がかかる。
「オレ、もっと先生のこと…知りたい」
「………」
絡まる視線が解けなくて、身体が熱くなる。
「そうしたら、描ける気がするんだ」
「霧島く…」
ふいに霧島くんの顔が近づいてきて、思わずギュッと目を閉じるーーーでも想像とは裏腹に、霧島くんの顔はわたしの肩の上に置かれたのだった。
「少し、こうさせて」
「あ、う、うん」
頬を霧島くんの髪に撫でられながら、何度か感じたことのある霧島くんの匂いにクラクラする。
眩暈にも似たその感覚が嘘みたいに心地良くて、どうにかなってしまいそうな自分が恥ずかしくもあった。
「ねぇ、何で目ぇ閉じたの?」
「…」
「またキスされると思ったとか?」
「…意地悪」
わたしの言葉に、クスっと笑う音がした。
わかってるくせに…。
「オレも、」
「…え?」
「ほんとに好きだから…」
そんなこと言われたら、涙出そうになるよ…。



