職員用のトイレは職員室の近くにしかなく、そこへ向かうわたしは、戻るまでに佐倉くんが居なくなっていることを祈りながら、歩いた。
「あ、いた」
トイレを済ませ、そのついでに少し職員室に寄ろうとしたわたしの耳に、はっきりと届いた声。
「なんで…?」
「コレ持ってきたんだけど、今テスト中だから職員室に入れないじゃん?」
霧島くんーーー。
「待ってたら、来るかなって思って」
「…」
スケッチブックをひらひらさせながら見せる霧島くんの笑顔に、不思議と安心するわたしだった。
それにしても…わたし達かなり噂になっているというのに、職員室の前で待ち伏せとか。
わたしだけが気にしているみたいで、何だか悔しい。
「ふふっ」
「何?」
「なんでもないよ」
でもそれが霧島くんらしくて、自然と笑みが溢れた。
「あ、ねぇ、良かったら一緒に教室に戻らない?」
「いいよ、また饅頭でもくれんの?」
「いや、お饅頭はない…けど…」
「けど?」
「………」
佐倉くんが、まだ居るかもしれないから…。
自惚れかもしれないけど、さっきあんな事があったから、1人で戻るのが不安だった。
「ま、いいや。オレって暇人だから(笑)」
「…ごめんね」
"一緒に"なんて誘ったものの、3年生の霧島くんが1年生の教室に用事なんてある訳ないのにーーーわたしは誘ってしまってから、申し訳ないと思って謝った。
「全然。1年生の教室なら昇降口近いし、それにもう少しリカちゃん先生と居たいから」
「……っ」
「どうしたの?」
「だ、だって…」
思わずキョロキョロして周りを確認するわたしに、
「気にすんなって!」
明るく返す霧島くん。
「気にするでしょ、フツー…」
「赤いよ、顔」
「………っ!」
いつも霧島くんのペースに嵌ってしまうわたし、本当にどうかしてる…。
誘うわたしもわたしだけど。
「大丈夫、誰も居ないこと確認してから言ってるから」
あ、そう…。
気にしてるのかしてないのか…、
「…」
ちらりと霧島くんを見上げたら、得意げな顔でわたしを見ていた。
「あ、いた」
トイレを済ませ、そのついでに少し職員室に寄ろうとしたわたしの耳に、はっきりと届いた声。
「なんで…?」
「コレ持ってきたんだけど、今テスト中だから職員室に入れないじゃん?」
霧島くんーーー。
「待ってたら、来るかなって思って」
「…」
スケッチブックをひらひらさせながら見せる霧島くんの笑顔に、不思議と安心するわたしだった。
それにしても…わたし達かなり噂になっているというのに、職員室の前で待ち伏せとか。
わたしだけが気にしているみたいで、何だか悔しい。
「ふふっ」
「何?」
「なんでもないよ」
でもそれが霧島くんらしくて、自然と笑みが溢れた。
「あ、ねぇ、良かったら一緒に教室に戻らない?」
「いいよ、また饅頭でもくれんの?」
「いや、お饅頭はない…けど…」
「けど?」
「………」
佐倉くんが、まだ居るかもしれないから…。
自惚れかもしれないけど、さっきあんな事があったから、1人で戻るのが不安だった。
「ま、いいや。オレって暇人だから(笑)」
「…ごめんね」
"一緒に"なんて誘ったものの、3年生の霧島くんが1年生の教室に用事なんてある訳ないのにーーーわたしは誘ってしまってから、申し訳ないと思って謝った。
「全然。1年生の教室なら昇降口近いし、それにもう少しリカちゃん先生と居たいから」
「……っ」
「どうしたの?」
「だ、だって…」
思わずキョロキョロして周りを確認するわたしに、
「気にすんなって!」
明るく返す霧島くん。
「気にするでしょ、フツー…」
「赤いよ、顔」
「………っ!」
いつも霧島くんのペースに嵌ってしまうわたし、本当にどうかしてる…。
誘うわたしもわたしだけど。
「大丈夫、誰も居ないこと確認してから言ってるから」
あ、そう…。
気にしてるのかしてないのか…、
「…」
ちらりと霧島くんを見上げたら、得意げな顔でわたしを見ていた。



