「美雪あんた彼氏はどうしたのよ？」
「んー、結婚結婚言うから重いっていうかぁ…、別れるかも」
「なにそれ。本当に美雪は続かないね」
恵ちゃんは、美雪ちゃんを冷たくあしらっていて、わたしはそれをぼんやりと見ているだけだった。
「恵都ひどーい！これまでの彼氏は運命の人じゃなかっただけだもん！」
運命の人－－－そんな人いるのかな…。
運命の………。
好きになってはいけない人は、きっと運命の人なんかじゃない。
「まさか運命の赤い糸とか信じちゃってるわけ？」
「悪い？そーゆう恵都はどうなの⁈片想い中の相手と」
「えっ⁈あたしの話は今関係ないでしょ！」
「好きならさっさと告っちゃえばいいのに」
「あ、あたしにも、色々とあるの！美雪とは違うんだからっ」
「ひどーい！だって霧島くんってカッコイイんだもん、放っておいたらすぐにまた彼女ができちゃうかもしれないじゃん！」
「そうかもしれないけど、でもちゃんと別れてからにしなよ？」
「ふわぁ〜い」
恵ちゃんの正論に、美雪ちゃんはふてくされていた。
「なんて声だしてんの。ケジメは必要でしょ！」
「もぉわかってるよ〜、かたいなぁ恵都は」
ケジメ…別れ……志朗さんと別れる…？
ちゃんと、別れてからなら－－－。
「…」
…って、わたしは何を考えているんだ。
そんなこと、出来るわけない。
学生のそれとは、わけが違うんだから。
「てか霧島くんが、美雪と付き合うとは思えないんだけど」
「ひどーい！リカちゃん先生聞いたぁ？」
だけど－－－、
「だけど…好きになっちゃったらさ、」
「リカちゃん先生？」
行き場のないわたしの想いは、
「どうすればいいの………？」
絡まるばかり。
…こんなにも、降り止まない想いがあるなんて－－－。
「え⁈なに？リカちゃん先生どうしちゃったの⁈美雪たち何か変な事言った？」
「…なんでもない。ごめん…ね」
「でも泣いて－－－、」
「大人になっても、色々あるってことだよ」
「恵都なにそれ、悟ってんじゃん」
わたしはキュッと涙を拭くと、
「本当になんでもないから。少し嫌な事を思い出しちゃっただけ」
と言って、笑顔をみせた。