◇◇◇
6月ーーー生徒たちの制服の衣替えも済み、毎日汗ばむ陽気、季節はすっかり夏になっていた。
でもそろそろ梅雨入りかな…髪がまとまらなくなるからイヤなんだけど。
あと、最近気になっていることと言えば、霧島くんがスケッチブックを持ってこなくなった事と、霧島くんが放課後みんなで集まらずにひとりだけ先に帰ってしまう事。
……って、全部霧島くんがらみ。
ふぅと小さく息を吐いたわたしは、職員室を後にし、駐車場へ向かった。
「……」
確実にどうかしてる、わたし。
"オレは、安藤先生のことが好きだから"
あの日以来避けられてるのかな…まぁ、そうだとしても仕方ないけど。
"付き合える訳ないじゃない!"
霧島くんの気持ちが本当か嘘かは置いといて、わたしはそれを跳ねのけたのだから。
あんな言い方をしたこと、謝るべきかな。
「…」
今日はいつもより早く仕事が片付いたこともあり、職員用の駐車場にはまだたくさんの車が停まっていた。
スーパーにでも寄ってから帰ろうかな、確か醤油がなくなりそうだったな。
そんな事を考えながら、車のドアに手をかけた時、
「ちょっと待って!安藤ってアンタだよね⁈」
敵意むき出しの声が、わたしの背中に突き刺さった。
振り向くと、顎の辺りでくるんと巻いた栗色の髪の毛と、マツエクかつけまつ毛かわからない何かでバチバチの目元がわたしの視界に飛び込んできて、すぐにそれが誰かを理解した。
ーーー霧島くんの、彼女。
前にスマホで顔を見たから、間違いない。
なんで…こんなところに……。
「あなた…は?」
彼女のことをわたしが知らない方が自然だと思い、あえて尋ねてみた。
「田宮詩織。霧島響のカノジョ」
田宮詩織と名乗った霧島くんの彼女は、挑むような目つきでわたしを睨んでいた。
「響に……別れたいって言われたの」
え…。
6月ーーー生徒たちの制服の衣替えも済み、毎日汗ばむ陽気、季節はすっかり夏になっていた。
でもそろそろ梅雨入りかな…髪がまとまらなくなるからイヤなんだけど。
あと、最近気になっていることと言えば、霧島くんがスケッチブックを持ってこなくなった事と、霧島くんが放課後みんなで集まらずにひとりだけ先に帰ってしまう事。
……って、全部霧島くんがらみ。
ふぅと小さく息を吐いたわたしは、職員室を後にし、駐車場へ向かった。
「……」
確実にどうかしてる、わたし。
"オレは、安藤先生のことが好きだから"
あの日以来避けられてるのかな…まぁ、そうだとしても仕方ないけど。
"付き合える訳ないじゃない!"
霧島くんの気持ちが本当か嘘かは置いといて、わたしはそれを跳ねのけたのだから。
あんな言い方をしたこと、謝るべきかな。
「…」
今日はいつもより早く仕事が片付いたこともあり、職員用の駐車場にはまだたくさんの車が停まっていた。
スーパーにでも寄ってから帰ろうかな、確か醤油がなくなりそうだったな。
そんな事を考えながら、車のドアに手をかけた時、
「ちょっと待って!安藤ってアンタだよね⁈」
敵意むき出しの声が、わたしの背中に突き刺さった。
振り向くと、顎の辺りでくるんと巻いた栗色の髪の毛と、マツエクかつけまつ毛かわからない何かでバチバチの目元がわたしの視界に飛び込んできて、すぐにそれが誰かを理解した。
ーーー霧島くんの、彼女。
前にスマホで顔を見たから、間違いない。
なんで…こんなところに……。
「あなた…は?」
彼女のことをわたしが知らない方が自然だと思い、あえて尋ねてみた。
「田宮詩織。霧島響のカノジョ」
田宮詩織と名乗った霧島くんの彼女は、挑むような目つきでわたしを睨んでいた。
「響に……別れたいって言われたの」
え…。



