「オレは、安藤先生のことが好きだから」
霧島くんの声はわたしに優しくまとわりついて、暖かく胸を締め付ける。
振り向いたところで何を言ったらいいのかもわからない、このまま教室を出ようか…そんな事を考えていたら、ペタペタとスリッパの音が聞こえてきた。
「先生」
すぐ後ろから聞こえてきた霧島くんの声を確認した直後、また霧島くんの髪の毛が…わたしの頬にふわりと触れた。
「彼女いるくせにっ……信用できない!」
頬に触れたのは、髪の毛だけじゃなかった。
間違いなく感じた、唇の感触ーーー。
「それにわたし、結婚してるのよ⁈付き合える訳ないじゃない!」
なに…言ってんだろう、わたし。
これじゃ、なんかまるで、霧島くんのことが好きみたいじゃない…。
適当にあしらえばいいのに…こんなこと、言わなくてもいいのに。
「あー…ごめん」
霧島くんの声のトーンが、少しだけ暗くなった。
「……」
いや、わたしの方こそごめんねだよ。
いい歳して取り乱して…恥ずかしい。
「カノジョとは、別れようと思ってる」
「…」
その言葉に、思わず振り向いたわたしの視界に入ってきた霧島くんの顔は、とても真剣だった。
本当に、本気なのーーー?
「オレ帰るわ、じゃあね先生」
今度は霧島くんがわたしに背を向け、あっさりと教室から出て行ってしまった。
急に身体の力が抜けたわたしは、その場にへたり込むと、そっと頬に触れた。
「……」
キスーーーされてしまったよ…。
霧島くんからの3度目の”好き”は、本当に本当なのかな……。
◇◇◇
「カンパーイ!」
世間はゴールデンウィーク、職業柄わたしの休みは短いけど、やっと亜子と予定が合って、駅前の居酒屋に飲みに来ていた。
駅前というか駅裏というか…繁華街からは少し奥まったところにある、こじんまりとした居酒屋だった。
しかも途中、何軒かラブホを越えて辿り着いた。
「わたし居酒屋っていつもチェーン店ばっかだから、たまにはこういうお店もいいね。でも亜子、よく知ってたね〜」
わたしは言ってから、梅酒をぐいっと飲んだ。
霧島くんの声はわたしに優しくまとわりついて、暖かく胸を締め付ける。
振り向いたところで何を言ったらいいのかもわからない、このまま教室を出ようか…そんな事を考えていたら、ペタペタとスリッパの音が聞こえてきた。
「先生」
すぐ後ろから聞こえてきた霧島くんの声を確認した直後、また霧島くんの髪の毛が…わたしの頬にふわりと触れた。
「彼女いるくせにっ……信用できない!」
頬に触れたのは、髪の毛だけじゃなかった。
間違いなく感じた、唇の感触ーーー。
「それにわたし、結婚してるのよ⁈付き合える訳ないじゃない!」
なに…言ってんだろう、わたし。
これじゃ、なんかまるで、霧島くんのことが好きみたいじゃない…。
適当にあしらえばいいのに…こんなこと、言わなくてもいいのに。
「あー…ごめん」
霧島くんの声のトーンが、少しだけ暗くなった。
「……」
いや、わたしの方こそごめんねだよ。
いい歳して取り乱して…恥ずかしい。
「カノジョとは、別れようと思ってる」
「…」
その言葉に、思わず振り向いたわたしの視界に入ってきた霧島くんの顔は、とても真剣だった。
本当に、本気なのーーー?
「オレ帰るわ、じゃあね先生」
今度は霧島くんがわたしに背を向け、あっさりと教室から出て行ってしまった。
急に身体の力が抜けたわたしは、その場にへたり込むと、そっと頬に触れた。
「……」
キスーーーされてしまったよ…。
霧島くんからの3度目の”好き”は、本当に本当なのかな……。
◇◇◇
「カンパーイ!」
世間はゴールデンウィーク、職業柄わたしの休みは短いけど、やっと亜子と予定が合って、駅前の居酒屋に飲みに来ていた。
駅前というか駅裏というか…繁華街からは少し奥まったところにある、こじんまりとした居酒屋だった。
しかも途中、何軒かラブホを越えて辿り着いた。
「わたし居酒屋っていつもチェーン店ばっかだから、たまにはこういうお店もいいね。でも亜子、よく知ってたね〜」
わたしは言ってから、梅酒をぐいっと飲んだ。



