浮かんできたのは、霧島くんの笑顔だった。
職員室に着いたわたしはふぅと息を吐くと、余ったお饅頭を机の隅に置いた。
どうかしてる…わたし。
全てはあの日、罰ゲームで嘘の告白をされた時から、わたしの中の何かがおかしくなってしまったみたいで、この気持ちを否定しきれない自分がイヤになる。
「…」
何となく目に入った霧島くんのスケッチブックを手に取り、パラパラとめくる。
新しい絵が1枚ーーー沖縄の、キレイな青緑色の海だった。
「…あ!」
気付いたのと同時に、わたしの手はケータイを触っていた。
霧島くんの絵は鉛筆で描かれているーーーそれを沖縄の海だと見た瞬間わかったのは、前に霧島くんが送ってくれた写真の中に、同じものがあったから。
鉛筆で描かれているその海は、当然白黒で色などないのだけど、不思議とそこに色を感じる。
それが、霧島くんの描く絵の最大の魅力なのだと思う。
何の抵抗もなく、自然に惹き込まれるーーー。
……やだ、絵だよ絵、霧島くんにじゃないからね。
自分で思っておいて恥ずかしくなったわたしは、コホンと咳ばらいをした。
そして、自分の手の中にあるケータイを見つめた。
「…」
わたし、本当にどうかしてる。
簡単にお昼ごはんを済ませたわたしは、美術室の鍵を持って職員室を出た。
ついでに、霧島くんのスケッチブックと、余った2つのお饅頭も持って。
廊下をしばらく歩き、やっと見えてきた美術室の前に、ひとりの生徒が壁にもたれてしゃがんでいるのが目に入った。
下を向いて、ケータイをいじっている。
彼はわたしの足音に気が付いたのか、顔を上げてこちらを見ると、キレイな茶色の髪の毛が…さらりと動いた。
「…やっと来た」
「き…霧島くん、どうしたの?何でこんなところに…」
「先生を、待ってたんだ」
霧島くんは、そう言って立ち上がった。
職員室に着いたわたしはふぅと息を吐くと、余ったお饅頭を机の隅に置いた。
どうかしてる…わたし。
全てはあの日、罰ゲームで嘘の告白をされた時から、わたしの中の何かがおかしくなってしまったみたいで、この気持ちを否定しきれない自分がイヤになる。
「…」
何となく目に入った霧島くんのスケッチブックを手に取り、パラパラとめくる。
新しい絵が1枚ーーー沖縄の、キレイな青緑色の海だった。
「…あ!」
気付いたのと同時に、わたしの手はケータイを触っていた。
霧島くんの絵は鉛筆で描かれているーーーそれを沖縄の海だと見た瞬間わかったのは、前に霧島くんが送ってくれた写真の中に、同じものがあったから。
鉛筆で描かれているその海は、当然白黒で色などないのだけど、不思議とそこに色を感じる。
それが、霧島くんの描く絵の最大の魅力なのだと思う。
何の抵抗もなく、自然に惹き込まれるーーー。
……やだ、絵だよ絵、霧島くんにじゃないからね。
自分で思っておいて恥ずかしくなったわたしは、コホンと咳ばらいをした。
そして、自分の手の中にあるケータイを見つめた。
「…」
わたし、本当にどうかしてる。
簡単にお昼ごはんを済ませたわたしは、美術室の鍵を持って職員室を出た。
ついでに、霧島くんのスケッチブックと、余った2つのお饅頭も持って。
廊下をしばらく歩き、やっと見えてきた美術室の前に、ひとりの生徒が壁にもたれてしゃがんでいるのが目に入った。
下を向いて、ケータイをいじっている。
彼はわたしの足音に気が付いたのか、顔を上げてこちらを見ると、キレイな茶色の髪の毛が…さらりと動いた。
「…やっと来た」
「き…霧島くん、どうしたの?何でこんなところに…」
「先生を、待ってたんだ」
霧島くんは、そう言って立ち上がった。



