わたしはポケットからケータイを取り出すと、その画面に視線を落とし、操作を始めた。
「何してるの…?」
「ぅえ…ッ⁈あぁっ……わゎッ⁈」
イキナリ背後から声がするんだもん、変な声を出してしまった上に、危うく持っていたケータイを落としてしまうところだった。
「き、霧島くん……。びっくりするでしょ⁈」
「あはは。ごめんなさい、ドア開いてたから」
「あ…」
そうだった、油絵の具の独特のにおいが充満しないように、教室のドアを半分開けていたんだった。
そのドアを全部開けて、霧島くんが一歩二歩とわたしに近づいてくる。
廊下から入ってきた空気に霧島くんのにおいが混ざり、それがわたしに届くまでに時間はかからなかった。
霧島くんは、わたしのすぐ近くまで来ていた。
ビックリして跳ね上がった心臓の音が、静かな2人だけの空間で響き、聞こえてしまいそうだった。
「これ美術部の?ふーん…」
ひとり言の様に言った後、イーゼルに立て掛けてある絵をひとつひとつ見てまわる霧島くんから、わたしは目が離せなかった。
「……」
罰ゲームで嘘の告白をされてからまだ2日、わたしだけが変に意識してドキドキしているなんて、面白くなかった。
いや…別に霧島くんにドキドキしている訳ではなくて、急に声をかけられてビックリしたドキドキがまだ収まっていないだけだけど。
ーーーと、自分にそう言い聞かせる。
「霧島くん…今日は何しに来たの?」
「何って?」
「…また、罰ゲームかなんか?」
わたしは手早く志朗さんにメールをすると、霧島くんに疑いの目を向けた。
「違うよ。安藤先生、警戒しすぎ(笑)」
あははと笑う霧島くんの横顔を、わたしは何とも表現できない気持ちで見ていた。
「もう騙されないんだから」
「そんな顔しないでよ。誰もいないって」
また藤井くんと甲斐くんが隠れてやしないか辺りを見渡すわたしに、困った様な笑顔を見せる霧島くんだったけど、そんな事は関係なかった。
もう、あんな恥ずかしい思いはごめんだ。
「また誰か廊下に隠れてるんでしょ?」
それを確認するために、わたしは霧島くんの横を通り抜けて廊下に向かおうとした。
「何してるの…?」
「ぅえ…ッ⁈あぁっ……わゎッ⁈」
イキナリ背後から声がするんだもん、変な声を出してしまった上に、危うく持っていたケータイを落としてしまうところだった。
「き、霧島くん……。びっくりするでしょ⁈」
「あはは。ごめんなさい、ドア開いてたから」
「あ…」
そうだった、油絵の具の独特のにおいが充満しないように、教室のドアを半分開けていたんだった。
そのドアを全部開けて、霧島くんが一歩二歩とわたしに近づいてくる。
廊下から入ってきた空気に霧島くんのにおいが混ざり、それがわたしに届くまでに時間はかからなかった。
霧島くんは、わたしのすぐ近くまで来ていた。
ビックリして跳ね上がった心臓の音が、静かな2人だけの空間で響き、聞こえてしまいそうだった。
「これ美術部の?ふーん…」
ひとり言の様に言った後、イーゼルに立て掛けてある絵をひとつひとつ見てまわる霧島くんから、わたしは目が離せなかった。
「……」
罰ゲームで嘘の告白をされてからまだ2日、わたしだけが変に意識してドキドキしているなんて、面白くなかった。
いや…別に霧島くんにドキドキしている訳ではなくて、急に声をかけられてビックリしたドキドキがまだ収まっていないだけだけど。
ーーーと、自分にそう言い聞かせる。
「霧島くん…今日は何しに来たの?」
「何って?」
「…また、罰ゲームかなんか?」
わたしは手早く志朗さんにメールをすると、霧島くんに疑いの目を向けた。
「違うよ。安藤先生、警戒しすぎ(笑)」
あははと笑う霧島くんの横顔を、わたしは何とも表現できない気持ちで見ていた。
「もう騙されないんだから」
「そんな顔しないでよ。誰もいないって」
また藤井くんと甲斐くんが隠れてやしないか辺りを見渡すわたしに、困った様な笑顔を見せる霧島くんだったけど、そんな事は関係なかった。
もう、あんな恥ずかしい思いはごめんだ。
「また誰か廊下に隠れてるんでしょ?」
それを確認するために、わたしは霧島くんの横を通り抜けて廊下に向かおうとした。



