「組長と奥様に、託されたんです。お嬢がこれ以上幸せを拒まないようにと」

渡したかったプレゼントがあったのだ。きっと喜んでくれるだろうと、大事に抱えたプレゼントが。

揺らめく炎の中に倒れる二人を見て投げ出したそれは、ひしゃげて、とてもじゃないけど誰かに渡せる物ではなくなった。

誰よりも優しく、誰よりも強い信念を持って包んでくれた二人。

ごめんなさい、呟く言葉はもう届かないことを知っても、私の口からは止まることがなかった。

酷く頭痛がして、頭を抱え込むように俯く。

「お二人は、心配されていました。お二人が亡くなられた後、ご自身を責めるであろうお嬢のことを」

責められずにはいられない。だって、私がしたことは責められるべきもの。

私には幸せを拒むことしか赦されない。それ以外を認める強さなんて、私は持っていない。だからこそ、何度も何度も蘇る記憶が瞼を焼き切って、赤い着物が視界に映り込むのだ。

耳元で囁く言葉に蓋をしても、頭に直接響くのはこれが幻聴だから。