待てないと言われたらきっと私は受け入れる。


待てと言われたら私はきっといつまでも待ってる。


けど怖いと思う自分もいる。
そこまで踏み込む事がまだ怖い。


本心では全てを受け入れる準備は出来ているはずなのに。


私はすれすれの所で制御を掛けてしまうんだ。



「奏まだ待っ‥‥、」

「1秒たりとも待てない」



キンモクセイの香りがいつも以上に近く感じる。

触れそうで触れない唇。

奏もきっと同じことを考えてるんだと思った。


私と同じで知らない間に制御をかけていた。


私は怖いと思っている。
奏は多分、私を傷付ける事を恐れている。


思ってる事は違えど、似たようなものだ。


すると急に、何かが私の頭に飛び込んできた。


黒い何かに取り込まれる人のようなもの。



「ナツが取り込まれた」


乱れた着物を整えながら奏は立ち上がった。