「ありが、」
「お前には首輪が必要か?」
私の言葉を遮って被せるように言い放った奏の表情は、いつものあの意地悪な。
掴んだ腕を引き寄せられ私は奏の胸へと収まる。
「ちょっ‥なんなのっ‥‥!!」
身体をぐいっと押してもビクともしないけど、奏より明らかに小さい手で精一杯抵抗した。
「なぜ逃げる」
「だって急に‥‥!」
「嫌なら本気で俺に抗ってみろ」
奏はズルい。
分かっていて、こう言う事を言う。
抵抗出来ないのを知っていながらこう言う事を言っちゃうんだ。
「最初から抗う気もないのに形だけの抵抗とは俺もなめられたものだ」
「月夜はされるがままが1番丁度良い」と私の頭を軽く撫でると今度はあの優しい微笑みで。
私の手を握って本殿の方へと歩き出した。



