「ナツくんが、狐のお面をしてて私に来てって言って、それで‥‥」 「ここに導かれた訳か」 「湖に何か浮いてるから、溺れてると思って。だってほら、そこにお面あるでしょ?」 私は奏の足元を指差した。 確かにそこには、私が見たときと同じ割れた狐の面が転がっていた。 拾い上げる奏は何かを考えているようだった。 「まあいい、ナツが心配している。戻るぞ」 狐の面を奏は湖に捨てた。 溶けるように消えてしまったお面は、一体何だったのだろうか。 「お面、消えちゃた‥‥」